第五章 妖刀跋扈編 金の章  第二話 「お祝い」

こんにちは、みずはです。
昨日お伝えした通り、
本日は小説をお届け致します。


〜前回までのあらすじ〜

湖刀美はごく普通の女子高生だった。
だが親友の陽子が封印されていた妖刀・村正に憑依されてしまった為、
神社の祭神・刀破から神剣『神明剣』を授かり光の巫女として戦う事に。

激闘の末に陽子を元に戻したものの、
村正は破片となって町中に飛び散ってしまった。
その破片に取り憑かれた少女と戦い、
破片を集める湖刀美。
水母・瑞羽を仲間に加え、
四人で村正に立ち向かう事になった。

珠美の事件から数日が経ち、
湖刀美達の通う学園ではバンド同好会による記念ライブが行われていた。
クラスメイトがリーダーを務めている事もあって、
湖刀美達はお祝いに行く事にした…。


『ソードブレイカー 湖刀美』

第五章 妖刀跋扈編 金の章  第二話 「お祝い」

綾音の姿が見えなくなった頃、
陽子と水母が湖刀美の所にやって来た。
「おまたせ、湖刀美ちゃん。」
「…すいません…、
 遅くなっちゃいました…。」
「いいよいいよ。
 それより水母ちゃん、
 具合はもういいの?」
湖刀美が尋ねた。
「…は、はい…、
 なんとか…。」
「びっくりしちゃったよ。
 ライブの途中でいきなり倒れちゃうんだもん。」
すると水母が少しうつむいて言った。
「…す、すいません…。
 私…人の集まる所とか…、
 大きな音とか…少し…苦手で…。」
「本当なの?
 だったら無理に見に行かなくてもよかったのに…。」
湖刀美が言うと水母が首を横に振った。
「…いえ…、
 せっかく湖刀美さんが誘ってくれたんですし…。
 それに…こういうのにも慣れていかなくちゃ駄目ですし…。」
「水母ちゃん…。」
「…だから、
 花束の贈呈だけでもちゃんとやりたいです…。
 クラスメイトの方がリーダーだそうですし…。」
「そうそう、
 綾音さんがリーダーなんだよね。
 水母さんもすぐに友達になれるよ。
 綾音さん、結構オープンだし。
 ねっ、湖刀美ちゃん。」
陽子の言葉に湖刀美が気まずそうな表情を浮かべた。
「そ、それなんだけど…、
 綾音…もう帰っちゃったんだ…。」
「本当?」
「うん。
 私がここに来た時に、
 何か顔を赤くして早歩きで歩いてきたんだよね。
 それで少し話をした後、
 走って帰っちゃったんだ。」
「そうだったんだ…。」
「…残念です…。
 せめておわびだけでもしたかったのに…。」
「まぁ、
 華蓮ちゃん達はまだ控え室にいると思うし。
 それに綾音にも明日になればまた会えるよ。
 とりあえずこれだけでも渡しに行こっ。」
「うん、そうだね。」
「はいっ。」
そうして三人は控え室に向かった。

 コンコンッ。
「失礼しまーす!」
 ガラッ!
「あっ、湖刀美ちゃん!」
三人が控室に入ると、
華蓮がすぐに駆け寄ってきた。
「どしたの、
 湖刀美ちゃん?
 もしかして祝いに来てくれたの?」
「うん。
 今日のライブ、
 すごくよかったから。
 あっ、これ祝いの花束。」
 スッ。
そう言うと湖刀美は華蓮に花束を手渡した。
「えっ!?
 こんな立派なのもらっちゃっていいの!?」
「いいのよ、華蓮さん。
 私達の気持ちなんだから。」
「陽子ちゃん…。」
華蓮が感激していると、
翔が口を開いた。
「もらっとけよ。
 せっかく土御門達がくれるって言ってんだからさ。」
「そうそう、もらっとけもらっとけ。
 そういうのはもらっといても損はねぇよ。
 精神的にしか得もねぇけどな。」
「ったく…いつも口が悪いね、海都は。」
湖刀美が呆れたように言うと、
海都は悪びれた様子も無く言った。
「悪ぃ悪ぃ。
 まぁサンキュな。」
「最初からそう言えばいいのに…。」

バンドのメンバーと湖刀美のやり取りを見て、
水母が陽子に小声で言った。
「…なんだかみなさん個性的ですね…。」
「まぁうちの学園の名物の一つだからね…。」
「…そうなんですか…。
 じゃあこの人達をまとめてる金白さんは大変でしょうね…。」
「大丈夫だと思うよ。
 綾音さんもバンドのみんな以上に個性的だし。」
「…はぁ…そうですか…。
 …明日うまく話せるでしょうか…。
 …今から緊張しちゃいます…。」
「大丈夫、
 最初は戸惑うかもしれないけどすぐに慣れるよ。」
「…が、頑張ります…。」

二人が小声で話している間も、
湖刀美は華蓮達と話していた。
「そういえばさっき綾音に会ったんだけどさ。
 なんであんなに急いでたの?
 何かあったの?」
「ああ、あれね。」
「いつもの事だよ。」
「そうそう、いつもの事。」
「いつもの事?」
湖刀美が首を傾げると、
華蓮が説明した。
「綾音ってすごく照れ屋でしょ?
 だから少しほめられただけで、
 照れくさくなってすぐ飛び出しちゃうのよ。」
「そうそう。
 今日だって、
 『頼れるリーダーだ』って少しほめただけでああだからな。」
「そ、そうだったんだ…。
 相変わらずだね…。」
「でもそこがいいんだよね。」
「確かに。
 いじりがいがあるからな。」
「あはは…そうなんだ…。
 さてと、
 それじゃあそろそろ帰るね。
 あまり遅くなるのもなんだし。
 明日もまたライブ見に行くからね!」
「ありがと。
 私達頑張るからね。」
「ああ、楽しみにしとけよ!」
「何度でもしびれさせてやるぜ?」
「あはは…期待してるよ。
 それじゃね!」
「うん!
 バイバイ!」
「またな!」
「そっちの嬢ちゃん達もまた来いよ!」
「うん!」
「は、はいっ!」
言葉を交わし、三人は控え室を後にした。


−続く−

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