第三章 妖刀跋扈編 火の章  第八話 「悪意の矢」

それでは小説に参ります〜。

正体を現した瑞羽。
湖刀美達は彼女を元に戻す事が出来るのか…?


『ソードブレイカー 湖刀美』

第三章 妖刀跋扈編 火の章  第八話 「悪意の矢」

「ふぅん…その姿…あの娘本当に湖刀美だったのね…。
 馬鹿ね…ゆうべせっかく見逃してあげたのに…。
 今日こうやってわざわざ乗り込んで来るなんて…命知らずもいいとこね…。」
陽子が出て行くと瑞羽が口を開いた。
「瑞羽先輩!!
 お願いです、目を覚まして下さい!!」
「…そっ、そんな力に飲み込まれちゃ駄目ですっ!!」
「うるさいわね…。
 この力があれば私は全ての束縛から解き放たれて自由になれるのよ!!
 邪魔はさせないわ!!」
そう言うと瑞羽は構えていた矢を放った。
 ヒュンッ!!
「くっ!」
 キィンッ!
その矢を湖刀美は刀で弾いた。
「正気に戻ってください!!
 先輩っ!!」
「本当にうるさいわよ!!
 あなた達!!」
 バサバサバサッ!!
瑞羽が背中の翼を羽ばたかせた。
するとその翼から無数の羽根が湖刀美と水母に向かって飛んできた。
 ドシュシュシュシュシュッ!!
「危ない! 光呪結界!」
 ブゥンッ!
湖刀美が叫んだ瞬間、
二人を包むように青白い光の壁が現れ全ての羽根を弾いた。
 キキキキキィンッ!!
「ふぅ…。」
「…危なかったです…。」
「たいしたものねぇ…。
 でも守ってるだけじゃ私に勝つ事なんてできないわよ!!
 ほらほらほら!!
 少しは反撃してみなさいよ!!」
 バサバサバサバサッ!! ドドドドドドドドッ!!
そう言いながら瑞羽はさらに翼を羽ばたかせ、
大量の羽根を飛ばしてきた。

「確かに先輩の言う通り…これじゃ攻撃できない…。
 どうすれば…!?」
苦戦する湖刀美の姿を見て水母はおろおろしていた。
(あうぅ、わ、私どうすれば…?
 電撃だと先輩に大怪我させちゃうし…、
 えっと…えっと…。)
すると突然水母の頭の中に声が響いてきた。
〔水母さん…。〕
(えっ…?
 この声は…刀破…様?
 湖刀美さんの中にいるはずじゃあ…。)
その声に水母は戸惑った。
〔あなたに授けた勾玉を通じて話しているのです。〕
(勾玉を通じて?)
〔はい。
 水母さん、風を使うのです。
 風でこちらに飛んでくる羽根を吹き散らせば、
 湖刀美も攻撃に専念する事ができます。〕
(で、でも…風なんて自分の意志で使った事無いです…。)
〔大丈夫です。
 どのように風を使いたいかを想いを込めて頭に思い描くのです。
 そうすればあなたに宿る力はそれに応えてくれます。〕
(わ、私にできるでしょうか…?)
〔自分に自信を持ってください、水母さん。
 あなたならできます。〕
(わ、わかりました。)

すると水母は目を閉じた。
 スッ…
(え、えっと…羽根を…吹き散らす風…。
 ……み、見えた!
 お願い、私の力…私の想いに応えて!!)
心の中でイメージを思い描くと、
水母は目を開き、両手を前に突き出した。
 バッ!
「…風よ! 羽根を吹き散らして!!」
 ビュオオオッ!!
すると水母の手から突風が放たれ、
飛んでくる羽根をことごとく吹き散らした。
「水母ちゃん!?」
「何っ!?
 あの娘にそんな力が!?」
二人が驚くと水母が声を上げた。
「…湖刀美さん!
 羽根は私が防ぎます!
 湖刀美さんは先輩を!」
「わかった!
 ありがと、水母ちゃん!」
そう言うと湖刀美は瑞羽に向かっていった。
 タタタタッ!
「てやぁぁぁっ!!」
「くっ!!」
 キィンッ!!…ギリッ…ギリギリッ…!!
湖刀美が振り下ろした刀を瑞羽は弓の刃の部分で受け止めていた。
「お願いです…っ!!
 目を…覚ましてください…っ!!
 先輩…っ!!」
「しつこいわよ…っ!!
 私は…正気よ…!!
 邪魔しないで…っ!!」
 ギィンッ!!
瑞羽が弓を振り上げ、
湖刀美の刀を弾いた。

「くっ!!」
 ババッ!
湖刀美はとっさに後ろへ跳び、間合いを取った。
「はぁ…はぁ…。」
「くっ…、
 こんな狭い所じゃやり辛いわ…。」
 バサァッ!
すると瑞羽が翼を羽ばたかせて縁側から外へ舞い上がった。
「ついてらっしゃい!!
 もっと広い場所でじっくり殺してあげるわ!!」
 バサバサバサ…!!
そう言うと瑞羽はそのまま飛んでいった。
「えっ!?
 は、早く追いかけないと!!
 水母ちゃん、私につかまって!!
 転移するから!!」
そう言って湖刀美は手を差し伸べた。
しかし水母は首を振った。
「水母ちゃん!?」
「…いいえ、私は私で先輩を追いかけます。」
「で、でも…。」
「…大丈夫です。
 今ので風の使い方は大体わかりましたから…。」
「えっ?」
すると水母が目を閉じた。
 スッ。
(風に乗って空を舞うイメージ…。
 ……見えた!
 お願い、風よ…私の想いに応えて!)
 フワァ…
その次の瞬間、
水母の体が宙に浮かび上がった。
「えっ!?
 み、水母ちゃん!?」
湖刀美が驚くと、水母が目を開いた。
「…私は自力で飛んで追いかけます!
 湖刀美さんは湖刀美さんで先輩を追いかけてください!
 さっき先輩は全然力を出してないみたいでした!
 本気を出すとどれだけの力があるのかわかりません!
 だからそれに備えて力を温存しておいた方がいいはずです!」
「う、うん!わかった!
 じゃあ私も飛んで追いかけるよ!」
 バサァッ!!
そう言うと湖刀美は翼を羽ばたかせ、
瑞羽が飛んでいった方へ向かった。
 ヒュンッ!
その後を追って水母も飛び立った。


−続く−

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