第一章 妖刀復活編 第三話 「魔の誘惑」
こんにちは、みずはです。
今日は休日出勤でしたが少し早く上がれました。
さて小説本編第三話。
前回はその片鱗でしたが、
今回と次回はいよいよ隠された趣味が本格的に出ます。
かなりマイノリティな嗜好の元に書き綴られたストーリー、
とくとご照覧あれ…。
『ソードブレイカー 湖刀美』
第一章 妖刀復活編 第三話 「魔の誘惑」
数時間後、お祓いも夕食も済ませ時計の針が十時を指した頃、
陽子が切り出した。
「それじゃあそろそろ帰るね。」
「えっ?
あっ、もうこんな時間なんだ。
陽子と一緒にいると楽しいから時間がたつのなんて忘れちゃうよ。」
「ふふっ、私もだよ。
でもそろそろ帰らないと。」
「そうだね。
んじゃ玄関まで見送るよ。」
「わしも見送ろう。」
「あ、ありがとうございます。」
そうして三人は玄関まで来た。
「今日は晩ご飯までごちそうしてもらっちゃって、
本当にありがとうございました。」
「なあに、構わんよ。
また遊びに来ておくれよ。」
「はいっ、是非!」
「それじゃあね、陽子。」
「うん。
またね、湖刀美ちゃん。」
「そうそう、巻物の件じゃが…。」
「はい?」
「一応お札を渡したが、
万が一それを使わねばならん事態になったらすぐ連絡するんじゃぞ。
すぐに向かうでな。」
「はい、わかりました。」
「気を付けてね、陽子。」
「うん、湖刀美ちゃん。
それじゃあお邪魔しました。」
そう言うと陽子は帰っていった。
「やれやれ…全く本当に研究熱心な娘じゃのう…。」
「あはは…『自称』民俗学者だからね…。」
「さぁて、風呂でも入るとするか。」
「あっ、そうだ。
おじいちゃん。」
「何じゃ?」
「ちょっと相談したい事があるんだけど…。」
「小遣いが足りなくなったのか?
いくら欲しいんじゃ?」
「もぉっ、違うよ!」
「冗談じゃよ、冗談…たはは…で何なのじゃ?」
「茶化さないでよね…ったく…。
あのね、今朝変な夢を見て…それが気になってて…。」
「変な夢?」
「うん…幻想的だけどリアルな…不思議な夢…。」
「どんな夢だったんじゃ?」
「気が付いたら辺り一面真っ白な所にいて…誰かが私を呼ぶんだ…。
それで誰か問いかけたら…何かが目覚めるとか…再び封印を、とか言って…。
その後にその目覚めようとしてるものの名前を言おうとしてたみたいなんだけど…。
そこで目覚まし時計が鳴って…目が覚めちゃって…。」
「ふむ…。」
「最初はあまり気にしてなかったんだけど…。
今日あんな事があったから…今はものすごく気になってて…。」
「そうか…確かに符合する点は多い…。
あながち無関係とは言えんかもしれんな…。
もしかしたら刀破様がこの事態を予見してお告げを下されたのかもしれん…。」
「本当? おじいちゃん…。
やっぱりお告げなの…?」
「はっきりとはわからんが…その可能性は高いじゃろう…。」
「そっか…やっぱりそうなんだ…。」
「今日貼ったあのお札は応急処置に過ぎん。
明日改めてしっかり封印を施しておこう。」
「うん…。」
「さて、もう遅いから明日の準備をして寝なさい。」
「明日の準備…あぁぁぁぁぁっ!!
そうだ!! 明日提出の宿題あったんだった!!
急いでやらないと!!」
そう言うと湖刀美は慌ててバタバタと二階へ駆け上がっていった。
「やれやれ…いつまでたっても落ち着きの無い娘じゃのう…。
陽子ちゃんとはまさに正反対じゃわい…。」
駆け上がっていった湖刀美の姿を見て湖刀美の祖父はため息をついていた。
家に帰った陽子はすぐに自分の部屋に入り、
借りてきた巻物と崩し字辞典を机に広げ、
解読に没頭し始めた。
(すごい…ここに書いてある事って江戸幕府の裏の部分に深く関係してるみたい…。
これが公になれば…民俗学…いいえ、歴史学そのものが大きく進歩するよ…。)
しばらく解読した後、陽子はそんな気持ちを抱いた。
そしてふと顔を上げて時計を見た。
するともう十二時をまわっていた。
(あ…もうこんな時間…。
続きは明日にしてもうそろそろ寝ないと…。)
そう思い崩し字辞典を閉じた。
その時机の片隅に置いておいた三枚のお札にふと目が行った。
(とりあえず今日は大丈夫だったな…。
けど…まだ何があるかわからないし…。
大事に取っておかないと…。)
そう思って陽子はお札を手に取った。
その時だった。
ボウッ!!
「きゃっ!!」
突然お札が紫色の炎を上げて一瞬で燃え尽きた。
(な、何? 何なの?
まさか…!)
すると巻物から紫色の煙が流れ出してきた。
(これ…あの時の…!!
湖刀美ちゃんに連絡しないと…!!)
そう思いカバンから携帯電話を取り出そうとしたが、
体が全く動かなかった。
(う、嘘…!! 体が…動かない…っ!!)
そうする間に紫色の煙が陽子の体を包み込んでいった。
(だ、駄目…このままじゃまた…魅了されちゃう…っ!!)
『ククク…。』
突然声が響いた。
「だ、誰…!?」
『気付イテイルノダロウ? 我ノ正体ニ。』
「ま、まさか、あなた…妖刀…村正…?」
『ソノ通リ。』
「嘘…!! 湖刀美ちゃんのおじいさまが封印し直したはず…!!
それにこの巻物だってお祓いしてもらったのに…!!」
『アンナ封印ナド応急措置ニ過ギヌ。
アノ程度ナラ外界ニ干渉スル事ナド造作モナイ。
ソレニ確カニアノオイボレカラモ力ハ感ジルガ、
アノ女ニハ遠ク及バヌ。
アレデハ我ヲ祓ウ事モ封ズル事モ出来ヌワ。』
「そ、そんな…!!」
『ククク…昼間オマエガ我ガ封ジラレテイタ箱ニ触レタ時ニ感ジタオマエノ波動…、
トテモ気ニ入ッタゾ…。
オマエノ躰ナラヨクナジムダロウ…。』
「わ、私をどうするつもりなの!?」
『コレヨリオマエト我ハ一ツニナル。
ソレニヨッテオマエハ妖刀ノ化身トナルノダ。
ソウスル事デ我ハ完全復活スル事ガ出来ル。』
「な、何ですって…!?
嫌だよ…そんなの…!!」
『ククク…ソウ邪険ニスルナ。
我ト一ツニナル事ハオマエニトッテモ良イ話ナノダゾ?』
「ど、どういう意味!?」
『オマエハ普段カラヨクコウ言ッテイルヨウダナ…
「歴史ノ裏側ニコソ歴史ノ真実ノ姿ガアル」ト。』
「そ、それが何だって言うの!?」
『全クモッテソノ通リダ。
歴史ノ裏側ニコソ真実ガ隠サレテイル。
権力者ドモハソレヲ忌ミ嫌イ決シテ表沙汰ニハシナカッタ。
今デモアルダロウ?
権力者ガ変ワルト前ノ権力者ガ裏デヤッテイタ事ガ初メテ明ラカニナルトイウ事ガ。』
「だからそれがどうしたって言うの!?」
『我モソノ「歴史ノ裏側」カラ生ミ出サレタ存在ナノダ。
「歴史ノ裏側」ノ事情ニヨリ「歴史ノ裏側」ノ技術ニヨッテ造ラレタノダ。
モットモ次第ニ強大化シタ我ニヨル被害ヲ「表側」ノ連中ガ看過出来ナクナッタ。
故ニ「歴史ノ裏側」デ活躍スル巫女ニ我ノ討伐ガ依頼サレ、我ハ封ジラレタノダ。』
「『歴史の裏側』で活躍する巫女…!?
湖刀美ちゃん達のご先祖様って…『歴史の裏側』の存在だったの…!?」
『ソウダ。
アノ蔵ニアルモノガ表沙汰ニナラヌノモ、
アノ巫女ガコノ地域以外デハホトンド名ヲ知ラレテイナイノモ、
全テ「歴史ノ裏側」ノモノダカラダ。』
「そんな…じゃあ私はずっと…見てはいけないモノ…、
触れてはいけないモノに…関わってしまっていたの…?
そうと知らずに…?」
『ソノ通リ。ダガ悔ヤム事ハ無イ。
誰ニデモ真実ヲ知ル権利ハアル。
マシテヤソノ「歴史ノ裏側」コソ全テノ人間ガ知ルベキモノナノダ。
ククク…陽子。
我ト…コノ「歴史ノ裏側」ノ秘密ノ結晶デアル妖刀村正ト一ツニナレバ、
オマエハ「歴史ノ裏側」ノ全テヲ知ル事ガ出来ル。
オマエガ求メテヤマナカッタアノ「歴史ノ裏側」ヲ。
ソシテ完全体トナレバオマエハ「歴史ノ裏側」ヲ己ノ物トシ、
イズレハ表ト裏全テヲ統ベル神トナル事ガ出来ルノダ。
嬉シイダロウ?
コレカラ永久ニ自分ノ手デ自由ニ歴史ヲ紡イデイク事ガ出来ルノダカラナ。』
「い、嫌だよ!! そんなの!!
確かに歴史の裏側は知りたいけど…そんな人外に身を堕としてまで知りたくない!!」
『ククク…拒ムナ拒ムナ。
身ヲ堕トスノデハナイ。
身ヲ昇華サセルノダ。
知的欲求ニ身ヲ任セ、知的好奇心ヲ満タスノダ。
サア、今オマエノ望ミヲ叶エテヤロウ!
己ノ心ニ素直ニナルノダ!』
その瞬間、
何者かの意志が陽子の心に侵入し始めた。
「なっ、何っ!? やめてっ!!
嫌ぁぁぁぁっ!!」
(なっ、何…!?
妖刀の思念が流れ込んでくる…!!
駄目…!! 私が…私でなくなっちゃう…!!
助けて…湖…刀…美…ちゃ…ん……)
しばらくすると陽子の瞳から意志の光が消えた。
『サア…陽子…「我」ヲ回収スルノダ…。』
「…はい…村正様…。」
妖刀の命令に応えると、
陽子は窓から外へ飛び出した。
そこは二階だったが、
陽子は人間離れした動きで難無く着地すると、
尋常でない速さで湖刀美の家の方へと走っていった。
−続く−
今日は休日出勤でしたが少し早く上がれました。
さて小説本編第三話。
前回はその片鱗でしたが、
今回と次回はいよいよ隠された趣味が本格的に出ます。
かなりマイノリティな嗜好の元に書き綴られたストーリー、
とくとご照覧あれ…。
『ソードブレイカー 湖刀美』
第一章 妖刀復活編 第三話 「魔の誘惑」
数時間後、お祓いも夕食も済ませ時計の針が十時を指した頃、
陽子が切り出した。
「それじゃあそろそろ帰るね。」
「えっ?
あっ、もうこんな時間なんだ。
陽子と一緒にいると楽しいから時間がたつのなんて忘れちゃうよ。」
「ふふっ、私もだよ。
でもそろそろ帰らないと。」
「そうだね。
んじゃ玄関まで見送るよ。」
「わしも見送ろう。」
「あ、ありがとうございます。」
そうして三人は玄関まで来た。
「今日は晩ご飯までごちそうしてもらっちゃって、
本当にありがとうございました。」
「なあに、構わんよ。
また遊びに来ておくれよ。」
「はいっ、是非!」
「それじゃあね、陽子。」
「うん。
またね、湖刀美ちゃん。」
「そうそう、巻物の件じゃが…。」
「はい?」
「一応お札を渡したが、
万が一それを使わねばならん事態になったらすぐ連絡するんじゃぞ。
すぐに向かうでな。」
「はい、わかりました。」
「気を付けてね、陽子。」
「うん、湖刀美ちゃん。
それじゃあお邪魔しました。」
そう言うと陽子は帰っていった。
「やれやれ…全く本当に研究熱心な娘じゃのう…。」
「あはは…『自称』民俗学者だからね…。」
「さぁて、風呂でも入るとするか。」
「あっ、そうだ。
おじいちゃん。」
「何じゃ?」
「ちょっと相談したい事があるんだけど…。」
「小遣いが足りなくなったのか?
いくら欲しいんじゃ?」
「もぉっ、違うよ!」
「冗談じゃよ、冗談…たはは…で何なのじゃ?」
「茶化さないでよね…ったく…。
あのね、今朝変な夢を見て…それが気になってて…。」
「変な夢?」
「うん…幻想的だけどリアルな…不思議な夢…。」
「どんな夢だったんじゃ?」
「気が付いたら辺り一面真っ白な所にいて…誰かが私を呼ぶんだ…。
それで誰か問いかけたら…何かが目覚めるとか…再び封印を、とか言って…。
その後にその目覚めようとしてるものの名前を言おうとしてたみたいなんだけど…。
そこで目覚まし時計が鳴って…目が覚めちゃって…。」
「ふむ…。」
「最初はあまり気にしてなかったんだけど…。
今日あんな事があったから…今はものすごく気になってて…。」
「そうか…確かに符合する点は多い…。
あながち無関係とは言えんかもしれんな…。
もしかしたら刀破様がこの事態を予見してお告げを下されたのかもしれん…。」
「本当? おじいちゃん…。
やっぱりお告げなの…?」
「はっきりとはわからんが…その可能性は高いじゃろう…。」
「そっか…やっぱりそうなんだ…。」
「今日貼ったあのお札は応急処置に過ぎん。
明日改めてしっかり封印を施しておこう。」
「うん…。」
「さて、もう遅いから明日の準備をして寝なさい。」
「明日の準備…あぁぁぁぁぁっ!!
そうだ!! 明日提出の宿題あったんだった!!
急いでやらないと!!」
そう言うと湖刀美は慌ててバタバタと二階へ駆け上がっていった。
「やれやれ…いつまでたっても落ち着きの無い娘じゃのう…。
陽子ちゃんとはまさに正反対じゃわい…。」
駆け上がっていった湖刀美の姿を見て湖刀美の祖父はため息をついていた。
家に帰った陽子はすぐに自分の部屋に入り、
借りてきた巻物と崩し字辞典を机に広げ、
解読に没頭し始めた。
(すごい…ここに書いてある事って江戸幕府の裏の部分に深く関係してるみたい…。
これが公になれば…民俗学…いいえ、歴史学そのものが大きく進歩するよ…。)
しばらく解読した後、陽子はそんな気持ちを抱いた。
そしてふと顔を上げて時計を見た。
するともう十二時をまわっていた。
(あ…もうこんな時間…。
続きは明日にしてもうそろそろ寝ないと…。)
そう思い崩し字辞典を閉じた。
その時机の片隅に置いておいた三枚のお札にふと目が行った。
(とりあえず今日は大丈夫だったな…。
けど…まだ何があるかわからないし…。
大事に取っておかないと…。)
そう思って陽子はお札を手に取った。
その時だった。
ボウッ!!
「きゃっ!!」
突然お札が紫色の炎を上げて一瞬で燃え尽きた。
(な、何? 何なの?
まさか…!)
すると巻物から紫色の煙が流れ出してきた。
(これ…あの時の…!!
湖刀美ちゃんに連絡しないと…!!)
そう思いカバンから携帯電話を取り出そうとしたが、
体が全く動かなかった。
(う、嘘…!! 体が…動かない…っ!!)
そうする間に紫色の煙が陽子の体を包み込んでいった。
(だ、駄目…このままじゃまた…魅了されちゃう…っ!!)
『ククク…。』
突然声が響いた。
「だ、誰…!?」
『気付イテイルノダロウ? 我ノ正体ニ。』
「ま、まさか、あなた…妖刀…村正…?」
『ソノ通リ。』
「嘘…!! 湖刀美ちゃんのおじいさまが封印し直したはず…!!
それにこの巻物だってお祓いしてもらったのに…!!」
『アンナ封印ナド応急措置ニ過ギヌ。
アノ程度ナラ外界ニ干渉スル事ナド造作モナイ。
ソレニ確カニアノオイボレカラモ力ハ感ジルガ、
アノ女ニハ遠ク及バヌ。
アレデハ我ヲ祓ウ事モ封ズル事モ出来ヌワ。』
「そ、そんな…!!」
『ククク…昼間オマエガ我ガ封ジラレテイタ箱ニ触レタ時ニ感ジタオマエノ波動…、
トテモ気ニ入ッタゾ…。
オマエノ躰ナラヨクナジムダロウ…。』
「わ、私をどうするつもりなの!?」
『コレヨリオマエト我ハ一ツニナル。
ソレニヨッテオマエハ妖刀ノ化身トナルノダ。
ソウスル事デ我ハ完全復活スル事ガ出来ル。』
「な、何ですって…!?
嫌だよ…そんなの…!!」
『ククク…ソウ邪険ニスルナ。
我ト一ツニナル事ハオマエニトッテモ良イ話ナノダゾ?』
「ど、どういう意味!?」
『オマエハ普段カラヨクコウ言ッテイルヨウダナ…
「歴史ノ裏側ニコソ歴史ノ真実ノ姿ガアル」ト。』
「そ、それが何だって言うの!?」
『全クモッテソノ通リダ。
歴史ノ裏側ニコソ真実ガ隠サレテイル。
権力者ドモハソレヲ忌ミ嫌イ決シテ表沙汰ニハシナカッタ。
今デモアルダロウ?
権力者ガ変ワルト前ノ権力者ガ裏デヤッテイタ事ガ初メテ明ラカニナルトイウ事ガ。』
「だからそれがどうしたって言うの!?」
『我モソノ「歴史ノ裏側」カラ生ミ出サレタ存在ナノダ。
「歴史ノ裏側」ノ事情ニヨリ「歴史ノ裏側」ノ技術ニヨッテ造ラレタノダ。
モットモ次第ニ強大化シタ我ニヨル被害ヲ「表側」ノ連中ガ看過出来ナクナッタ。
故ニ「歴史ノ裏側」デ活躍スル巫女ニ我ノ討伐ガ依頼サレ、我ハ封ジラレタノダ。』
「『歴史の裏側』で活躍する巫女…!?
湖刀美ちゃん達のご先祖様って…『歴史の裏側』の存在だったの…!?」
『ソウダ。
アノ蔵ニアルモノガ表沙汰ニナラヌノモ、
アノ巫女ガコノ地域以外デハホトンド名ヲ知ラレテイナイノモ、
全テ「歴史ノ裏側」ノモノダカラダ。』
「そんな…じゃあ私はずっと…見てはいけないモノ…、
触れてはいけないモノに…関わってしまっていたの…?
そうと知らずに…?」
『ソノ通リ。ダガ悔ヤム事ハ無イ。
誰ニデモ真実ヲ知ル権利ハアル。
マシテヤソノ「歴史ノ裏側」コソ全テノ人間ガ知ルベキモノナノダ。
ククク…陽子。
我ト…コノ「歴史ノ裏側」ノ秘密ノ結晶デアル妖刀村正ト一ツニナレバ、
オマエハ「歴史ノ裏側」ノ全テヲ知ル事ガ出来ル。
オマエガ求メテヤマナカッタアノ「歴史ノ裏側」ヲ。
ソシテ完全体トナレバオマエハ「歴史ノ裏側」ヲ己ノ物トシ、
イズレハ表ト裏全テヲ統ベル神トナル事ガ出来ルノダ。
嬉シイダロウ?
コレカラ永久ニ自分ノ手デ自由ニ歴史ヲ紡イデイク事ガ出来ルノダカラナ。』
「い、嫌だよ!! そんなの!!
確かに歴史の裏側は知りたいけど…そんな人外に身を堕としてまで知りたくない!!」
『ククク…拒ムナ拒ムナ。
身ヲ堕トスノデハナイ。
身ヲ昇華サセルノダ。
知的欲求ニ身ヲ任セ、知的好奇心ヲ満タスノダ。
サア、今オマエノ望ミヲ叶エテヤロウ!
己ノ心ニ素直ニナルノダ!』
その瞬間、
何者かの意志が陽子の心に侵入し始めた。
「なっ、何っ!? やめてっ!!
嫌ぁぁぁぁっ!!」
(なっ、何…!?
妖刀の思念が流れ込んでくる…!!
駄目…!! 私が…私でなくなっちゃう…!!
助けて…湖…刀…美…ちゃ…ん……)
しばらくすると陽子の瞳から意志の光が消えた。
『サア…陽子…「我」ヲ回収スルノダ…。』
「…はい…村正様…。」
妖刀の命令に応えると、
陽子は窓から外へ飛び出した。
そこは二階だったが、
陽子は人間離れした動きで難無く着地すると、
尋常でない速さで湖刀美の家の方へと走っていった。
−続く−
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